現在イスラム教徒は世界で16億人以上いると言われてます。60億人世界の人口の約2割がイスラム教徒の方々で、最もイスラム教徒の人口が多いのは「インドネシア」で、約2億5千万人と言われています。
そんな世界的宗教のイスラム教ですが、国によって宗教上の解釈や、国民への宗教帰依強制度はかなり開きがあります。
テレビ番組「ドキュランド・ようこそ」でイランの特集が組まれ、気になってきたので、イスラム教の国の中でも、際立って目立つ存在である「イラン・イスラム共和国」のイスラム教と生活について探ってみることにしました。
イランという国
イランは西アジア・中東に位置するイスラム教を国教とする共和制の国です。ペルシャとも呼ばれます。
古代まで歴史をさかのぼると。とんでもない長さになるので割愛しますが、イスラム教が信仰されるようになったのは7世紀ごろです。
公用語はペルシア語で
首都はテヘランにあります。
国の宗教はイスラム教ですが、イスラム教シーア派です。
イランにおけるイスラム教
イラン政府は国の宗教をイスラム教と定め、国法を古典イスラーム法(シャリーア)としています。
イランはイスラム教の中でもシーア派と呼ばれる方を信仰しています。
(イスラム教には大きくシーア派とスン二派があり、大多数のイスラム教徒はスンニ派です。シーア派は少数派になります。)
~シーア派とスンニ派の違い~
もともとは預言者であるムハンマドの後継者をめぐる考え方の違いがある。632年にムハンマドが死去した後、娘婿でいとこのアリを含む4人を最高指導者のカリフとして認めたスンニ派に対し、シーア派はアリとその子孫を正統な後継者と位置づける。世界のイスラム教徒人口のうちスンニ派が約8割、シーア派が1割強を占めるとされる。
出典:https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H5Y_U6A100C1FF8000/
また国民にはイスラム教の戒律を守ることを強制しています。特に女性に対しての「服装」や「恋愛」については宗教警察が厳しく目を光らせています。
イスラム革命以前のイラン
イランがイスラム教を信仰し始めたのはさかのぼれば7世紀になりますが、1963年におきた白色革命から1979年に起きたイラン・イスラム革命までの間までは、かなり欧米化、世俗化した社会でした。

1970年代はこんな感じだったそうです。シ出典:http://labaq.com/archives/51192903.html
当時の国王は急速に近代化を進め、当時のイスラム教の国からすればあり得ないような
・女性の参政権を認める
・一夫一妻制の導入(イスラム教の経典クル―アンでは男性は複数妻を持っていいとされていますが、当時は戦争で未亡人になる女性が多かったため、その救済策として作られた背景があるのと、妻を平等に扱うこと、養えないのに結婚してはいけないなど、男性側にもかなり厳しい決まりがあるので、男性が好き放題複数の女性と結婚できるわけではありません!)
・女性のヒジャブ(頭に巻くスカーフ)使用の禁止(イスラム教では女性の美しい部分を隠すようにという教えがあります。)
などを打ち出し、急速に欧米化させました。もちろん反発もありましたが、国王は大胆に改革を推し進め、イランは今では考えられませんが、当時は「親米」で、「中東で一番おしゃれな国」と言われていました。
イスラム革命
急速な欧米化、近代化で発展していった一方で「貧富の差」が広がり、国民の不満や、宗教家たちの不満がつのり、1979年、現在のイランの最高指導者である「ホメイニ師」の指導のもと、「イスラム革命」が起こります。
このイスラム革命以後、イランの国法は「シャリーア」となり、親米から反米へと変わり、国民はイスラム教にのっとた生活をすることが強制されるようになりました。
その中でも女性に対する規制は特に強いものです。
イランで禁止されていること
イランではイスラム教の教えを厳格に守ることが求められます。
イスラム教では
・お酒を飲むこと
・音楽、歌を歌うこと(解釈によります。)
・女性が肌を出すこと
・豚肉を食べること
・結婚前に男女が交際すること(ばれたら最悪死刑)
などが禁じられています。
イランではお酒を飲むことや豚肉を食べることが禁じられているのはもちろんですが、
・アメリカの歌を聴いたり、歌ったりすること
・公の場で歌うこと、踊ること
・女性が公の場で自転車に乗ること(自動車はOK)
・ネクタイを締めること→ネクタイは反イスラムなのでダメらしい
・女性がヒジャーブをつけないで外出すること
・派手すぎる格好をすること
・女性が宗教警察の許可を得ていない服を着ていること
などなんでそんなこと禁止にするの?みたいなものを禁止にしています。
ちなみにイランを旅行する外国人女性も同様にヒジャーブの着用および、肌を出さない服装が求められますのでご注意!!
しかしながら最近はだいぶ規制が緩くはなってきたようです。
イランのたくましい女性たち
いろいろな規制がありながらも、女性たちは規制を守りながら、時には規制を破ってでもおしゃれを楽しんでいます。

出典:https://www.google.com/url?sa=i&rct=j&q=&esrc=s&source=images&cd=&ved=0ahUKEwj4jNff3s7gAhVnF6YKHYNZAYAQMwhiKA0wDQ&url=http%3A%2F%2Fwww.saiyu.co.jp%2Fitinerary%2F143%2FGEIR11%2Findex.html&psig=AOvVaw2DMSWq8Cnlpb3doVejhW55&ust=1550904265440243&ictx=3&uact=3

イランの若い女性。スカーフはもはや飾りですね。どの国の女の子も年頃はおしゃれしたいものです!出典:https://www.google.com/url?sa=i&rct=j&q=&esrc=s&source=images&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwjZpOr5387gAhWMBKYKHVffCg0QjB16BAgBEAQ&url=https%3A%2F%2Fwithnews.jp%2Farticle%2Ff0160831004qq000000000000000W03510801qq000013913A&psig=AOvVaw3XWOmKL9CxAwQ4fdGpgbz1&ust=1550904265433437
また「ヒジャーブ着用強制反対運動」もあり、逮捕者が出ながらも個人の自由を求めて闘う女性たちも多くいます。
http://news.livedoor.com/article/detail/16048025/
↑イランで起きたヒジャーブに関するニュースです。
服装の規制はありますが、イランでは女性の大学進学、社会進出はかなり進んでいます。また女性たちの長い闘いの成果もあって、規制はだいぶ緩くなってきているようです。
↑女性たちの闘い
今後のイランは?
まだ国としては様々な宗教規制のあるイランですが、女性たちの長い長い抗議活動の成果は目に見えて現れているようです。
私自身宗教を信じること、その戒律を自分で守ろうとすることは悪いことではないと思っています。
しかしそれをほかの人に押し付けること、ましてやそれを強制して守らなければ罰を与えるのはちょっと論外なことだと思います。
(蛇姫個人はイスラム教は好きです。私の知るイスラム教徒の方々は本当に親切で徳の高い人が多く、本当に尊敬できる人たちです。)
私の個人的な意見としては、イスラム教を捨てるということではなく、礼拝やその他の義務・行事(喜捨やラマダーン)などは続けていき、普段の服装やスポーツに関すること、女性の行動に対する世俗的な規制は国の関与することではなく、ヒジャーブの着用やどんな服を着るかは個人に任せればよいことだと思います。
これからイラが規制を緩めていくのかどうか、国策を変えていくのかどうか注目していきたいところです。